MENU

EQで音が良くならないのは「聞く耳」が育ってないから

「EQをいじっても、なんだか音が良くなった気がしない…」「結局、どこをどう触ればいいのかわからない…」

そんな風に感じている方は、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私もDTMを始めたばかりの頃は、まさにその状態でした。EQは音作りの基本と言われるのに、なぜか効果を実感できない。

実はその悩み、EQの「使い方」ではなく、音が「聞こえていない」ことが原因かもしれません。この記事では、EQで本当に音が良くなるための「聞く耳」を育てる方法と、今日から実践できるEQテクニックをご紹介します。

目次

EQで音が良くならないのは「聞き分け」ができていないから

多くのDTM初心者の方が陥りやすい罠は、EQを「音を良くするための魔法の杖」だと思ってしまうことではないでしょうか。

しかし、EQは音を足すよりも、むしろ「余計なものを削ぎ落とす」ための彫刻刀に近いツールだと考えてみてください。目の前の素材(音源)に、何が不要で、どこを削ればもっと美しくなるのか。それを見極める「耳」が育っていないと、やみくもに削ってしまい、かえって形が崩れてしまうんです。

音には様々な「周波数」が含まれています。それぞれの周波数帯は、音のキャラクターに大きく影響します。

  • 低い周波数帯(20Hz〜200Hz):音の土台、重さ、迫力に関わります。ここが多すぎると、ぼやけて聴こえたり、音が濁ったりします。
  • 中低域(200Hz〜800Hz):音の暖かさ、ボディ感に関わります。こもりやブーミーさの原因になりやすい帯域でもあります。
  • 中高域(800Hz〜5kHz):音の存在感、アタック感、明瞭さに関わります。耳に痛い、キンキンした音の原因にもなります。
  • 高い周波数帯(5kHz〜20kHz):音の空気感、きらめき、シャープさに関わります。ここが少なすぎると音がくぐもって聞こえ、多すぎるとシャリシャリした耳障りな音になります。

これらのキャラクターが混ざり合った状態で、「どこに問題があるか」を具体的に聞き分けるのは、慣れないうちは本当に難しいですよね。

EQを「判断」するための軸を持つ

では、どうすればEQを効果的に使えるようになるのでしょうか。それは「音の良し悪し」を判断するための基準を持つことです。

「足し算」よりも「引き算」を考える

まず、EQの基本は「カット(削る)」から始めると覚えておきましょう。音を良くしようと、特定の周波数帯をブースト(上げる)しがちですが、これはミックス全体で聴いたときに、その帯域だけが浮いてしまい、かえってバランスを崩してしまうことが多いんです。

不要な周波数を削ることで、他の楽器の音がクリアに聞こえたり、ミックス全体の見通しが良くなったりします。この「引き算」の考え方が、EQで音を整理整頓する第一歩です。

理想を追うより「問題点」を探す

次に大切なのは、「こんな音にしたい」という理想の音を漠然と追いかけるのではなく、「今、この音のどこに問題があるのか」という視点を持つことです。

例えば、「キックの音がぼやけている」と感じたら、それはどの周波数帯が原因だろう?「ボーカルがこもって聞こえる」のは、どの帯域が邪魔をしているのだろう?と、具体的な問題点を見つけることに集中します。

この「問題点探し」こそが、あなたの「聞く耳」を育てる最高のトレーニングになるでしょう。

今日からできる!「サーチ&デストロイ」で耳を鍛えよう

具体的に、どうやって「問題点」を見つける耳を鍛えればいいのでしょうか。ここで実践的なテクニックをご紹介します。

失敗パターン:ブーストしすぎ

EQ初心者が最も陥りやすい失敗は、特定の帯域を「持ち上げすぎる」ことです。例えば、ボーカルをクリアにしたくて中高域を大きくブーストすると、一瞬は前に出たように聞こえますが、すぐに耳が疲れる、キンキンした不快な音になってしまいます。

これは、問題の原因を特定しないまま、ただ音を大きくしただけの状態だからです。

実践テクニック:「サーチ&デストロイ」

「サーチ&デストロイ(探して破壊する)」は、耳を鍛えながら問題点を見つけるための非常に有効なEQテクニックです。

手順は以下の通りです。

  1. EQプラグインを立ち上げ、一つのバンド(EQのポイント)を選びます。
  2. Q値(帯域の幅)を広すぎず、狭すぎない程度に設定します。最初はQ値を「2〜3」あたりから試してみると良いでしょう。
  3. そのバンドで、ゲイン(音量)を大きく「+10dB」から「+15dB」くらいまで極端にブーストします。
  4. この状態で、周波数帯をゆっくりと左右に動かしていきます
  5. すると、特定の周波数で「うわっ、耳障り!」「箱鳴りがひどい!」「なんか変な響き…」といった、不快なポイントが見つかるはずです。
  6. その不快なポイントを見つけたら、今度はQ値を少し狭めて、その不快な周波数帯をピンポイントで捕らえます。
  7. そして、ブーストしたゲインをマイナスにカット(削る)します。最初は「-3dB〜-6dB」程度から試してみてください。音が自然に収まるポイントを探します。

この作業を繰り返すことで、各楽器の「問題となる周波数帯」を耳で覚え、聞き分ける能力が格段に向上します。

例えば、キックの「こもり」は200Hz〜400Hzあたり、スネアの「ダンボール感」は400Hz〜800Hzあたり、ボーカルの「マスク感」は200Hz〜500Hzあたりに潜んでいることが多いものです。具体的な数値例を参考にしながら、まずはあなたの耳で「問題点」を探してみてください。

ソロとミックス全体で確認する

「サーチ&デストロイ」は、まずソロ(単独のトラック)で行います。しかし、EQ調整の最終判断は必ずミックス全体で聴きながら行いましょう。

ソロで完璧に聞こえても、他の楽器と混ざると問題が再発したり、逆にカットしすぎた部分が目立ったりすることがあります。EQは、あくまでミックス全体のバランスを整えるためのツールなのです。

まとめ

EQで音が良くならないという悩みは、決してあなたが下手なのではありません。ただ、まだ「聞く耳」が育ちきっていないだけなのです。

今日から意識してほしいことは、この3つです。

  • EQは「引き算」から始めるという考え方を持つこと。
  • 「サーチ&デストロイ」のテクニックで、音の「問題点」を具体的に探し出すこと。
  • 調整はソロとミックス全体の両方で確認し、常にバランスを意識すること。

焦らず、一つ一つの音と向き合うことで、あなたの「聞く耳」は必ず育っていきます。そして、その耳が育ったとき、EQはあなたの強力な味方になってくれるはずですよ。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次