自分の曲、毎日聴くほど「ダメ」になる?客観視が失われる脳の錯覚

目次

【あるある】自分の曲、何が良いか悪いか分からなくなる問題

作った曲、これで本当に完成でいいのかな…?もう何が良いのか悪いのか、全然判断できない!

これ、あなたも経験ないですか?

何時間もDAWとにらめっこして、ようやく形になったと思ったら、次の日には「あれ、なんか違う…」って。

頑張って聴けば聴くほど、迷宮入りしちゃうんですよね。

正直、これって「センスがない」とか「耳が悪い」とか、そんな話じゃないんです。

誰もが陥る、人間の脳の特性が引き起こす現象なんですよ。

この記事でわかること

  • 客観視が失われる脳の仕組み
  • 初心者がハマる失敗パターン
  • 今日からできる「客観視を取り戻す」具体的な方法5選

【本質】なぜ自分の曲が客観的に聴けなくなるのか?

結論から言いますね。

それは、あなたの脳が「慣れて」しまうからです。

心理学の世界では「注意の慣れ」とか「意味飽和」なんて言われたりします。

同じ情報を繰り返し入力されると、脳はそれを「重要ではないもの」と判断し、処理を自動的に省略しようとするんです。

自分の作った曲を何度も聴いていると、脳は「ああ、これね」って感じで、新鮮な情報として受け止めなくなります

その結果、細かな粗や違和感、あるいは逆に素晴らしいポイントすらも、見過ごしてしまうようになるんですよ。

だから「何が良いか悪いか分からない」状態に陥るのは、あなたが努力して聴き込んでいる証拠でもあるんです。でも、それは客観視を失う方向に向かってしまっている、ということ。

ポイント

客観視が失われるのは、脳が繰り返し聴くことで「慣れて」しまい、情報処理を省略するからです。

【失敗パターン】初心者がハマる「客観視できない」の罠

この「脳の慣れ」が原因で、初心者が特に陥りやすい罠がいくつかあります。

罠1:DAWの画面とにらめっこしすぎる

DAWのミキサー画面や波形ばかり見ながら聴いていませんか?

視覚情報に引っ張られて、本来耳で判断すべきことに集中できなくなります。イコライザーのカーブやコンプレッサーのメーターばかり見て、「これでいいはず」と錯覚しがちなんですよね。

罠2:同じ環境で聴き続ける

ヘッドホンだけでミックスしたり、いつも同じスピーカーでしか聴かないのも危険です。

その環境に耳が最適化されすぎてしまい、他の再生環境での聞こえ方を想像できなくなります。スマホで聴いたら全然違う音に聞こえる、なんてことはザラです。

罠3:無限ループ再生で「粗探し」

「ここが悪い」と決めた場所を、ひたすらリピート再生して調整し続ける。

実は逆効果なんです

脳がその音に慣れすぎて、本来の違和感が麻痺します。結果的に、余計な調整を加えてしまい、バランスが崩壊する原因になりやすいんですよ。

【解決策】客観性を取り戻す「脳のリセット術」5選

じゃあ、どうすれば客観性を取り戻せるのか?

あなたの脳を一度リセットして、「初めて聴くリスナー」の耳に近づけるための具体的な方法を5つ紹介します。

1. 「場所」と「デバイス」を徹底的に変える

これはマジで効きます。

DAWから書き出した音源を、普段使わない環境で聴いてみてください。

  1. スマホのスピーカーで聴く
  2. Bluetoothイヤホンで聴く
  3. リビングのテレビやミニコンポで流す
  4. 車のカーオーディオで聴く
  5. お風呂場やキッチンなど、反響の多い場所で聴く

「え、そんなんでいいの?」って思うかもしれません。

でも、普段と全く違う環境で聴くことで、脳は新鮮な情報として処理し直します。普段気づかなかった音量バランスのズレや、特定の周波数帯の違和感が、驚くほどハッキリ聞こえてくるはずですよ。

特にスマホのスピーカーは、低音やステレオ感がほとんどないので、音の芯やボーカルの抜けを客観的にチェックするのに最適です。

2. 「時間」と「距離」を置いて徹底的に寝かせる

あなたがどれだけ集中して制作しているとしても、最低でも2〜3時間はDAWから完全に離れてください。

可能であれば、一晩寝かせる。いや、いっそ2〜3日、完全に触らないくらいの気持ちでOKです。

その間は音楽以外のことに集中しましょう。散歩したり、映画を見たり、全く関係ないことをするんです。

そうすることで、脳は一度その曲の情報を「忘れて」くれます。

そして、数時間後、あるいは数日後に改めて再生してみてください。きっと「あれ、こんな音だったっけ?」という新鮮な感覚で聴けるはずです。その時が、客観的な判断を下す絶好のチャンスですよ。

3. 聴く「目的」を限定するセルフチェック術

「全体的にどう?」なんて漠然とした聴き方はやめましょう。

客観的な判断を阻害する最大の要因は、評価軸の曖昧さです。

そこで、以下のように聴く目的をピンポイントに絞り込んでください。

  1. 「今回はキックの音量とアタック感だけをチェックする」
  2. 「ボーカルが他の楽器に埋もれていないかだけを確認する」
  3. 「サビのコード感とメロディの絡みが良いかだけを聴く」
  4. 「全体のリズムが前のめりになっていないか、あるいは重すぎないかだけを判断する」

このように聴く目的を限定することで、脳は余計な情報に惑わされず、一つのポイントに集中できます。

「良い」「悪い」ではなく、「この目的は達成できているか?」という明確な判断軸で評価するんです。これ、本当に強力なテクニックなんですよね。

4. 「違う耳」に聴いてもらう勇気を持つ

あなたの友人や家族、あるいは音楽仲間など、信頼できる人に曲を聴いてもらいましょう。

ただし、ここでも「どう?良い?」なんて聞いちゃダメです。

相手の耳もあなたと同じく「慣れていない」状態なので、具体的なフィードバックを引き出すことが重要です。

  1. 「Aメロのボーカル、もう少し大きく聴こえた方が良いと思う?」
  2. 「この曲の一番聴かせたい楽器って何だと思う?」
  3. 「サビに入った時、もっとガツンと来る感じが欲しい?」
  4. 「この曲、どんなシチュエーションで聴きたいと感じる?」

このような具体的な質問をすることで、相手も答えやすくなりますし、あなたも漠然とした感想ではなく、具体的な改善点やヒントを得ることができます。

「他人の耳」は、あなたの客観視を一時的に補ってくれる最高のツールなんですよ。

5. DAWのマスターに「モノラルプラグイン」を挿す

これは、ミックスのプロも必ずやっている、定番中の定番テクニックです。

DAWのマスターアウトに、モノラル化するプラグインを挿してください(多くのDAWには標準で付属しています)。

ステレオで聴くと「良い感じ」に聞こえていた音が、モノラルにすると途端にスカスカになったり、消えてしまったりすることがあります。

これは主に「位相のズレ」が原因なんですが、それ以上に重要なのは、ステレオの広がりという「幻想」が取り払われ、音の芯や骨格だけがむき出しになることです。

モノラルで聴いたときに、ボーカルやキック、スネアといった主要な音がしっかり聴こえるか?

これが客観的な判断基準になります。スマホや多くのBluetoothスピーカーは、事実上モノラルに近い再生なので、これで聴こえが悪ければ、実際のリスナーにも伝わらない可能性が高いんです。

「これ一択です」。ミックス中は、こまめにモノラルチェックする癖をつけましょう。

【判断軸】「良い」「悪い」の基準を自分で作る

最終的に「良い」「悪い」の判断を下すのは、あなた自身です。

そのためには、自分なりの判断軸を持つことが重要になります。

それは「この曲で何を伝えたいか?」「どんな感情になってほしいか?」という、「目的」を明確にすることから始まります。

曖昧な判断 明確な判断軸
「なんか音がこもってる気がする」 「ボーカルがもっとクリアに聴こえて、歌詞がすっと入ってくるようにしたい」
「もっと迫力出したい」 「サビでドラムとベースがグッと前に出て、体が自然と動くようなグルーヴを出したい」
「全体的に物足りない」 「アウトロでシンセの広がりがもっと欲しくて、余韻に浸れる空間を作りたい」

漠然とした感覚を、このように具体的な言葉に落とし込むことで、「何をどうすれば良いか」の道筋が見えてきます

そして、今回紹介した5つのリセット術を駆使して、その「目的」が達成されているかを客観的に評価してくださいね。

まとめ:今日からできる客観視リセット術

自分の曲が客観的に聴けないのは、あなたの耳が悪いわけじゃありません。

脳が「慣れ」てしまうことで、判断力が鈍るのが原因でした。

今日から試せる具体的なアクションは、この3つ。

  1. 「場所」と「デバイス」を変えて、脳に新鮮な情報を与える
  2. 「時間」と「距離」を置いて、脳を完全にリセットする
  3. 「目的」を限定したチェックと、モノラルチェックで音の骨格を掴む

これらの方法を組み合わせるだけで、あなたの曲は劇的に変わります。

ぜひ、今日から実践してみてくださいね!

あわせて読みたい

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

音脳ラボ運営。宅録・DTM・歌ってみたを中心に、実体験ベースで音作りを研究しています。

コメント

コメントする

目次