「曲は作れるけどプロっぽくない」その悩み、解決します
DTMで曲作りをされているあなたへ。
「一通り作れるようになったけど、なんだかプロの曲みたいにならないな」「自分の曲、なんか物足りないんだよな…」そう感じていませんか?
私も最初はそうでした。たくさん音を重ねて、良い音源を使っているはずなのに、なぜかまとまりがなくて、心に響かない。
その原因は、もしかしたら「音楽の設計図」が不足しているからかもしれません。
この記事では、あなたの曲のクオリティを一気に引き上げるための「音楽の設計図」という考え方をご紹介します。
なぜプロの曲は人を惹きつけるのか、その本質的なメカニズムから、今日から実践できる具体的なアプローチまで、音脳ラボが独自の視点で徹底解説いたします。
なぜあなたの曲は「プロっぽく」ならないのか?問題の本質
「プロっぽい曲にならない」という悩みは、多くのDTM初心者が共通して抱えるものです。
その根底には、「個々の音は良いのに、曲全体としてのバランスが取れていない」という問題が潜んでいます。
一体なぜ、この問題が起きてしまうのでしょうか?
それは、まるで「良い材料をたくさん集めたのに、設計図なしで家を建てようとしている」状態に似ています。
音楽において「設計図」がないと、各楽器やボーカルが、曲全体のどの部分で、どのような役割を果たすべきか、その音響的な立ち位置が曖昧になってしまいます。
音の「役割分担」と「周波数帯域の競合」
私たちの耳に届く音は、様々な周波数帯域の集合体です。例えば、ベースは低い周波数、シンバルは高い周波数を多く含みます。
設計図がないまま「良い音だから」と複数の楽器を重ねてしまうと、同じような周波数帯域を持つ楽器同士が競合してしまいます。
これをマスキング効果と呼びます。例えば、ボーカルとリードギターが同じ帯域を占有しすぎると、両方の音が互いを打ち消し合い、どちらも聴き取りにくくなるという現象が起きてしまうのです。
個々の音量が適切でも、周波数帯域がごちゃ混ぜになってしまうと、曲全体の「明瞭度」が著しく低下し、のっぺりとした、聴き疲れするサウンドになってしまいます。
「音の足し算」ではなく「構成と引き算」で考える
多くの初心者は、曲を「音の足し算」で考えがちです。良いと思った音源を次々に重ねていけば、豪華でプロっぽい曲になるだろう、と。
しかし、実際のプロの現場では、むしろ「音の引き算」や「構成による展開」こそが重要視されます。
曲の始まりから終わりまで、ずっと同じ楽器編成で、同じ音圧だと、聴き手はすぐに飽きてしまいますよね。
プロの曲は、セクションごとに意図的に音数を減らしたり、特定の楽器を際立たせたりすることで、聴き手の感情を巧みに操り、物語を紡ぎます。
個々の音の良さだけでは、曲全体のクオリティは上がりません。大切なのは、曲全体を通して、各音がどのような「意味」を持ち、どのように変化していくかをあらかじめ計画することなのです。
「音楽の設計図」を描くための判断の軸
では、どのようにすれば「音楽の設計図」を描けるようになるのでしょうか?
その判断の軸は、「曲全体を俯瞰し、各セクションの役割を明確にする」という一点に尽きます。
失敗例:とりあえず盛り上げようとする
初心者が陥りがちな失敗パターンとして、「とりあえず盛り上げたいから、サビでは全ての楽器を鳴らす」というものがあります。
しかし、これはしばしば逆効果になります。なぜなら、AメロもBメロもサビも、常に全ての楽器が鳴り響いていると、どこが盛り上がりなのか聴き手に伝わらないからです。
聴き手は、音の「変化」によって感情を揺さぶられます。最初から最後まで同じ状態では、その変化が感じられません。
成功例:セクションごとの「情報量」と「エネルギー」をデザインする
プロの曲は、セクションごとに情報量(音数、複雑さ)やエネルギー(音圧、周波数帯域の広さ)を意図的にデザインしています。
例えば、Aメロではボーカルを際立たせるために、楽器の数を抑えたり、リズムをシンプルにしたりします。
Bメロで少しずつ楽器を追加したり、コード進行に変化をつけたりして、サビへの期待感を高めます。
そしてサビで、全ての楽器を解放し、最も高い音圧と広い周波数帯域を使って、曲のクライマックスを演出するのです。
このように、各セクションが「なぜそこにあるのか」「聴き手に何を伝えたいのか」を明確にすることが、設計図の第一歩です。
あなたの曲が一本の映画だとすれば、どこで静かに語り、どこで感情を爆発させるのか、そのストーリーボードを描くようなイメージです。
今日からできる!音楽の設計図を描く実践的アプローチ
それでは、具体的にどのように「音楽の設計図」を描き、実践していけば良いのか、ステップバイステップで見ていきましょう。
ステップ1:曲の「物語」と「セクションの役割」を定義する
まず、あなたの曲がどんな物語を語りたいのか、どんな感情を表現したいのか、大枠で考えてみましょう。
そして、各セクション(Aメロ、Bメロ、サビ、間奏など)が、その物語の中でどのような役割を担うのかを言語化します。
| セクション | 役割(例) | 意識する「強弱・密度」 |
|---|---|---|
| イントロ | 世界観の提示、期待感の醸成 | 弱〜中、密度低〜中 |
| Aメロ | ボーカル(メロディ)を聴かせる、物語の導入 | 中、密度低 |
| Bメロ | サビへの橋渡し、少し展開を加える | 中〜強、密度中 |
| サビ | 曲の核心、最も盛り上げる、開放感 | 強、密度高 |
| 間奏/Cメロ | 気分転換、新たな展開、サビの繰り返しを避ける | 中〜強、密度中 |
| アウトロ | 余韻を残す、曲の終わりを告げる | 弱、密度低 |
この表を埋めるだけで、あなたの曲は一気に「意図」を持つようになります。
ステップ2:展開の「強弱」と「密度」を音で表現する
セクションごとの役割が決まったら、それを具体的な音の要素に落とし込んでいきます。
失敗パターン:全セクションで同じドラムパターン、同じコード、同じ楽器数。
これでは、聴き手に「変化」が伝わらず、飽きさせてしまいます。
成功パターン:セクションの役割に応じて、楽器の構成、音の質感、空間処理などを変化させます。
具体的な調整例1:ドラムの「情報量」と「エネルギー」を変化させる
ドラムは曲のグルーヴとエネルギーを司る重要なパートです。設計図に合わせて叩き方や音数を変えましょう。
- Aメロ:シンプルにキック、スネア、クローズハイハットのみで、ボーカルの邪魔をしないように。
- Bメロ:オープンハイハットやライドシンバルを加え、少しだけ開放感を出す。フィルインも短く、効果的に。
- サビ:クラッシュシンバルでアタックを強調し、タム回しで高揚感を演出。キックとスネアも力強く。
このように、ドラムの音数や叩き方(ベロシティ)を変化させるだけで、曲の展開が格段に豊かになります。
具体的な調整例2:EQで「音の空間」を棲み分ける
各楽器がそれぞれの役割を果たすためには、周波数帯域の棲み分けが不可欠です。
プロの現場では、この「音の配置」が徹底的に行われます。
| 楽器 | EQ調整の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| ボーカル | 100Hz以下を-3dB〜-6dBでカット、4kHz〜6kHzを+1.5dB〜+3dBでブースト | 不要な低域の濁りをなくし、明瞭さと存在感を出す |
| ベース | 200Hz〜300Hz付近をわずかに-1dB〜-2dBでカット | ボーカルやギターとの競合を避け、低音の輪郭を明確にする |
| ギター(バッキング) | 100Hz以下をカット、3kHz〜5kHzを調整(他の楽器との兼ね合いで) | 全体を濁らせる低域を整理し、オケの中で埋もれないようにする |
あくまで目安ですが、各楽器に最適な周波数帯を確保することで、音がクリアに聴こえ、全体がスッキリします。
「なぜこの周波数を調整するのか?」それは、それぞれの楽器が持つ「基音」や「倍音」の特性を理解し、お互いの音を邪魔しないようにするためです。
具体的な調整例3:リバーブで「奥行き」と「広がり」を演出する
リバーブは、音に奥行きと広がりを与えるエフェクトですが、これも設計図に合わせて使い分けましょう。
ディケイタイム(音の残響が消えるまでの時間)を変化させることで、セクションのムードを大きく変えられます。
- Aメロのボーカル:ディケイタイム0.8秒〜1.2秒程度のショートリバーブで、親密感や語りかけるような印象を強調します。
- サビのボーカル:ディケイタイム2.0秒〜3.0秒程度のロングリバーブで、広がりと壮大さを演出し、感情の爆発を表現します。
- ドラム:アタックを強調したいキックやスネアには短めのリバーブやゲートリバーブ、シンバルには長めのリバーブで残響感を足すなど、パートごとにも使い分けます。
リバーブの長さや種類を変えるだけで、同じ音源でも全く異なる印象を与えることができます。
プロの現場では、プリプロダクションの段階で、「このセクションではボーカルを前に出す」「この間奏では空間を広く感じさせる」といった具体的な指示が出されます。
ミックスエンジニアは、その指示(設計図)を元に、オートメーション(音量、パン、エフェクトの自動変化)を細かく書き込み、曲の展開を立体的に作り上げていくのです。
まとめ:あなたの曲に「意図」と「物語」を
いかがでしたでしょうか?
「プロっぽい曲にならない」という悩みは、決してあなたのスキル不足ではありません。
多くの場合、曲全体の「音楽の設計図」が曖昧なために起こる問題なのです。
今日からあなたの曲作りに取り入れていただきたいポイントは、この3つです。
- 音楽は「設計図」から始める:曲の物語と感情の起伏を大まかに描きましょう。
- 各セクションの「役割」と「強弱・密度」を意識する:Aメロ、サビなど、それぞれが何を表現する場なのかを明確にします。
- 具体的な調整で「音の空間」を作り出す:ドラムの音数、EQでの周波数帯域の棲み分け、リバーブでの奥行き演出など、具体的な設定値を意識して調整しましょう。
今日からできることとして、まずは今作っている、あるいは過去に作った曲をもう一度聴き直し、「このセクションは何のためにあるんだろう?」と考えてみてください。
そして、各セクションの役割に合わせて、ドラムの音数を減らしてみたり、ボーカルのEQを少し調整してみたりするだけでも、あなたの曲は劇的に変化するはずです。
「設計図」という視点を取り入れることで、あなたのDTMライフがさらに豊かになることを願っています。

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